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マイブームの岩下尚史さん。お師匠は~んほんまでっか!?

岩下さんってええな!遊び方粋やわ♪
激しく同意やね(*´∇`*)

文章が長いのでご注意を



以下 お稽古広場より


編集・加藤(以下K) (重詰を前に)では、お言葉に甘えて、いただきまーす!
岩下尚史(以下I) はい、遠慮なく、おあがんなさい。
K なかなかこんな高級なもの食べられません!
I はあ、そうですか。
K いやー、おいしいっ。この魚はなんですかね?
I さぁ…


K あっ、わかりました、グジですよ、グジ。
I ……
K これは松茸ご飯ですか。グジに松茸、京都の秋って感じですね。
I ……
K 僕ね、時々料理もするんですよ。こういう塩加減は、素材がよくなくっちゃ出来ませんよね。
I ……
K どうかしましたか、黙るなんて珍しいですね。
I 呆れているんだよ。


K すこしがっつきはしましたが、そんなにひかないでくださいよぉ。
I そんなケチなことを言っているんじゃないの。時にね、加藤君、アナタは板前にでもなる気ですか? それとも魚河岸へ転職する気なのかい?
K 急にどうしたんですか、ずっと編集者のつもりですよ。
I それなら、男のように、鷹揚にお食べなさいよ。
K ゆっくりってことですか?
I えゝ、焦れったいね。黙って食べなと云うことですよ。安い料理番組の口真似なんか聞かせられては、まったく、たまらないよ。



K お、おいしいです。
I あたりまえです。新橋の芸者衆が、私のためにあつらえた弁当だよ。蓋を開けたときに、板前割烹の元祖の庖丁だと言ったのが、耳に入らなかったのかね。
K どういうことですか?
I 板前割烹と云うのは、味そのものを追求するための店だからですよ。それまでの料理屋は、必ずしも、そうした場所ではなかったもの。
K 料理に味以外の何を求めるんですか?
I 先ず座敷のしつらい、道具の取り合わせ、庭の景色、女将の采配、女中や配膳のとりなし、さらには芸者や幇間の取り持ちが渾然一体となった「もてなし」の気分と云うものが御馳走だと考えられていました。膳の上の料理も、一座の趣向の一部分と云うわけです。だいたい、男のくせに、喰い物の味を云々すること自体、気障なことで…
K えっ、味についてしゃべるのはマナー違反ってことですか?


I きわめて行儀の悪いことゝされていました。そもそも、男のくせに喰いものに関心があると云うこと自体、いやしい奴だと見下げられたものです。それが今では、喰うことに拘ることを見栄にして、食材や調理についての豆知識を仕入れては、料理人の前でも知った振りを並べたがるのが流行りらしい。ぞっとしますね。
K …
I だいいち、日本料理は繊細だと強がりを言ったところで、西洋料理や中国料理にくらべますと、味そのものは淡泊で変化にも乏しいでしょう? その侘びた「風味」を味わうには、空間にも給仕にも濃やかな気遣いが必要になります。ですから、味の探求よりも、もてなしの技術と心得を練り上げてきたわけでしょうね。昔の上等の料理屋なんて、厨房から膳を受け取った女中が、長廊下を渡って座敷へ運ぶんですから、これを取り次いだ芸者が客の前に膳を据える頃には、お椀も何も冷めていますよ。
K 高い金払って、そんな料理なんですか……。
I だから、料理の味は二の次なんです。門構、玄関、座敷、雪隠が立派で清潔で、女将の御世辞が好くて、女中が行き届いて、そのうえに洒落た芸者が揃っているなら、客は満足して帰ると云うことですよ。



K 納得いかないんだろうなあ、僕なんかはケチだから。でも、この重詰を作った浜作さん…ですか、板前割烹の元祖とかいう…そこは、それまでの料理屋とは違う、というわけですか?
I だからさ、こんどは味本位の「うまいもの」を作って商売しようと考えたわけですよ。なんでも、大正の半ばから昭和の初めのことらしいね。しかも、客の見ている前で、庖丁を使って魚も引けば、盛り付けもすると云う新商売をはじめました。カウンター形式の日本料理屋は、今では当たり前のカタチですが、これが関西から東京に持ちこまれたのが関東大震災後の銀座で、つまりオープンキッチンですからね、刺身も乾かず、煮物も湯気の立っているものが喰えると云うので、客に大歓迎されて、たちまち「板前割烹」は全国的に普及したと云うわけです。


K 食い物のことはあれこれ言うなっておっしゃるわりには、ものすごく詳しいじゃないですか。
I 親切ごゝろで教えてあげているのに、なんですか。
K あ、すいません。でも、どこで調べたんですか、そんなこと?
I 学生の頃に、その祇園町の浜作の居候をしたこともあったからね。先代から直に聞きました。
K そんなことをしてたんですか! じゃあ、料理も出来るんじゃありませんか?
I 出来ませんよ。厨房に入ったことは無いんだもの。
K 居候のくせに、手伝いもしないで、ナニしてたんですか?
I 当時の旦那衆たちと同じカウンターに坐って、その「お客振り」を眺めていました。今は亡き財界の大物や、京大の碩学、千家の家元などが常連でしたから、その会話を脇で聴くのが楽しみでね。そうしちゃあ、先代が私にも、お客と同じ料理を出してくれるんです。まあ、たいていは、お造りだったね。浜作の居候なんだから、若いうちに、明石の鯛の味だけ覚えておけ……と。
K 居候のくせに、料理も食べるんですか。明石の鯛のお造りかあ。



I その頃の関西の財界人と云うものは、面白い注文をするんです。今頃の季節だと、「松茸あるか?」となる。
K 土瓶蒸しですか?
I 「フライにしてくれ」って。おほほほ。
K えっ。
I 名代の料理屋が仕入れた極上の松茸を、職人が見はからって揚げるわけですからね、うまくないわけない。もちろん、同じ料理屋でも、これが数寄屋の座敷であるとしたら、パン粉で揚げたフライなどもってのほかですが、そこが格と云うもので、どれほど名代で高価な店であっても、腰掛で味わう板前割烹の心やすさと云うところですよ。なんでもそうですが、物事にはそれぞれ位と云うものがあります。料理屋の会席が能ならば、板前割烹の喰い切りは狂言でしょうね。それぞれの格を心得て、時に応じて使うことが出来るようになれば、まさに自由自在の境地と云うことさ。近鉄の佐伯と云う当時の会長など、浜作にカツ丼をあつらえていましたもの。きっと、目の飛び出るほどの値段だったでしょうよ、おほほほ。


K 岩下先生、その調子だと、きっと、浜作さん以外にもおいしいお店、知っているんじゃないですか? 「中食」っていう言葉もありますけど、時々はこうやって重詰めとか取り寄せて家で食べるんですか?
I 何をおっしゃる、わたしは「流行らない作家」なんですよ。こんな何万円もする重詰めを、自分ひとりのために、あつらえるわけがないじゃないの。
K 謙遜なさらなくても。そういうお店の知識を一冊にまとめてもいいですね。
I 嫌なこッてす。
K そうですかあ、いいと思うんだけどなあ。
I だって、うすーい本が出来上がりますよ。私の行つけの店ときたら、都内に十軒もありませんもの。わずか10ページほどの本じゃ売れませんでしょ、あなた。
K そんな意地悪言わなくてもいいじゃないですか。


I うそなど言いませんよ。大たい、わたしは知らない店に入ることは苦手でね、たとえば、お客をするときはこの料亭、だれかと逢引のときはこのレストラン、自分ひとりで中国料理が食べたいときにはこゝ、そのほか天麩羅、鰻、蕎麦にいたるまで決めておいて、けっして浮気はしませんから。
K 飽きないんですか?
I えゝ。どこも長年の馴染ですから、先では私の好みも癖も呑みこんでくれていますもの。ですから招待するときも安心して任せられますし、楽ですよ。なんと云っても、こちらから、いちいち説明しなくても済むと云うのが助かります。ふいに行って、込み合っているときでも、なんとか席を作ってくれますしね、いろいろな点で、お互いに不愉快な思いをせずに済みます。だから今、流行りの食べ歩きなんて、気がしれませんね。フリで入ったら、向こうでは私のことを何も知りませんから、ずいぶん居心地の悪い、うすらさびしい思いをするでしょう。
K でも、最初は、誰だって、フリ、ですよね?
I 分かりきったことを聞く人だね。そりゃあ、祖父さんの代からの行きつけのある家はともかく、そうでない場合でも、親父だの親戚のおじさん、あるいは会社の上司とかに連れられて行くことはあるでしょうから、そのときに気に入れば、間をおかず、何日か後に予約を入れるわけさ。そうすると、向こうでも安心して、大切な客として扱ってくれますよ。まあ、そんなふうだからね、私は外でも、同じ店で、同じものばかり食べています。


K じゃあ家ではときどきおいしいものを?
I しつこい人だね。料理人を雇っているなら別ですが、自分の家で美味いものを喰えるわけがないし、その必要もありません。御飯さえ上手に炊けば、安直な惣菜で充分です。私なんて、昨日の晩は、バタとジャムを塗ったトーストだけで済ませましたが、それでも間に合うものです。だって美味い料理と云うのは、本来、外で楽しむ寸法のものなのです。いくら料理自慢の奥方があると言っても、材料も道具も家庭用なのだから、どこまで行っても素人料理に違いはないもの。だいたい、家で凝ったものを喰おうと云うのが、よく分からない。凝らないでも、おいしい御飯とおつけ、旬のものを煮た惣菜が、夫婦は円満、家族は安全なわけでしょう。ただ、外で誰かをもてなす必要のあるとき、あるいは職人の拵えた筋目の通ったものを喰いたいときには、金を惜しまず、料理屋へ行って、立派な客としてふるまうことよ。分かりました? そんなことも分からないで、このマグロはどこの海を泳いでいたの、グジの塩加減がどうのと、まったく、聞いてあきれるよ。
K は、はい。
I おや、おや、そう言いながら、つまんだ八幡巻をおッことしたよ。加藤君、喰いものゝ蘊蓄など並べる前に、先ず、箸遣いの稽古でもなさい。おほほほ。
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Author:だいすけ@
藤井大介(ふじい だいすけ)
JB TOP50メンバー
琵琶湖バスフィッシングガイド
バスプロトーナメント活動中。

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